アレルギー性鼻炎・花粉症

要約

 アレルギー性鼻炎はダニ・ホコリに対して、花粉症はスギ・ヒノキや雑草に対して鼻粘膜に起こるアレルギー反応です。治療法について説明します。

当院では

 大きく分けて3通りの治療を行っています。

  • ①症状を抑える薬物療法
  • ②薬品を塗って鼻粘膜を変性させ、鼻水や鼻づまりを軽減するトリクロール酢酸療法
  • ③抗原(スギ花粉症ならスギ花粉エキス、ダニアレルギーならダニ抗原を固めた錠剤)を毎日口の中に入れて免疫を作る舌下免疫療法
②と③については別に説明ページを設けますのでこのページでは薬物療法について説明します。

アレルギー性鼻炎・花粉症の薬(内服・点鼻)について

内服薬1:抗ヒスタミン剤
最も基本の治療薬です。くしゃみ・鼻水・かゆみの軽減に有効です。薬の種類は多いのですが強力なものほど眠くなったり、口が乾きやすいという副作用があります。(眠気の有無は個人差が大きいです)弱めで副作用の少ないものを選ぶこともできます。
内服薬2:抗ロイコトリエン剤(プランルカスト、モンテルカスト)
内服薬1に追加して内服すると鼻づまりの軽減に有効です。気管支のアレルギーにも効果があり、咳を伴う方、喘息のある方には特にお勧めです。眠気はありません。
点鼻薬1:ステロイド系
ステロイドホルモンは使用するものの点鼻薬では全身への吸収率が低いので安全性は高いです。くしゃみ・鼻水・鼻づまりすべてに有効です。ただし点鼻して即座に効くわけではないので、鼻が詰まってから点鼻してもすぐには鼻が通りません。じわじわと効きます。
点鼻薬2:抗ヒスタミン系
内服薬1の点鼻版です。点鼻ステロイドに抵抗感のある方にお勧めします。効果は劣ります。
頓服薬(ひどいときだけ内服)
ステロイドホルモンの内服は非常に有効です。継続すると血糖上昇・顔面のむくみなどさまざまな副作用が起こりますのであくまで頓服をお勧めします。

使い分け

軽症の方
内服1単独 または 点鼻1単独
中等症の方
内服1+2 または 内服1+点鼻1
重症の方
内服1+2+点鼻1、頓服

 花粉症は浴びる花粉の量によって症状が急に悪化することもあります。軽症や中等症の方で内服のみで治療している方は内服1の薬を増量したり(多くの薬が1日量を倍まで増やせます)点鼻を追加すると良いでしょう。点鼻主体の方は内服を追加すると良いでしょう。逆に雨の日など症状の軽い日には薬を減らしても構いません。天気予報や花粉情報を気にかけてください。

花粉症の薬はいつから使い始めるか

 花粉をたくさん浴びる当日までに薬を開始していれば症状がでてから開始するよりずっと効果的です。症状もないのに花粉を浴びる何週間も前から治療を開始する必要はないのですが、いつたくさん飛散するか正確にはわからない以上、天気予報を気にしながら過去の自分の症状が始まった時期を参考にしてください。

アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー)では

 季節の変化に応じて症状が出たりおさまったりしますからその時々の症状に合わせて治療します。一般的にはダニが繁殖する夏の終わりごろから気温と湿度が下がる秋にかけて悪化します。冷暖房器具の使いはじめにも気を付けてください。掃除をするときにはマスクをしましょう。薬を使うことの前に部屋の清掃など原因除去が根本対策であることを忘れないでください。