要約
アレルギー性鼻炎舌下免疫療法はダニ抗原製剤を毎日舌の下に入れて免疫を作る、アレルギー性鼻炎の治療法です
解説
(通年性)アレルギー性鼻炎は主にダニがアレルギー原因物質です。舌下免疫療法はダニ抗原製剤を毎日少しずつ舌の下に入れて免疫を作り、アレルギーの諸症状を緩和する治療法です。抗アレルギー剤などを使った治療法が薬が効く時間に限りがあるのに比べて、いったん免疫を作ると治療をやめた後も免疫効果が数年単位で継続することが大きな違いです。免疫を作るという意味では予防接種に似ているかもしれません。一度にたくさん取り入れると激しいアレルギー反応が起こるかもしれないので少量ずつ時間をかけて作る免疫と考えてください。
- 対象
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採血や皮膚の反応でダニアレルギーが確定されている方。年齢制限はありませんが安全性や効果を確かめる「治験」は5歳以上を対象として行われましたので、5歳以上を対象と考えてください。のどの痒みや口内炎などの副作用が高頻度で起こりますので、体調の変化をはっきり訴えられる必要があり、小学校入学以降のほうが安心です。なお中高生でも副作用の心配がなくなる2か月以内はお一人での受診はご遠慮いただいております。ダニアレルギーの治療は年間を通じて開始できますがスギ花粉症を合併している方はスギの飛散時期での開始は避けていただいております。導入にはアレルギー血液検査結果が必要です。当院でも行っております。
- 方法
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2種類の錠剤があります。それぞれ決まった期間で低用量から高容量に慣らしていきます。最初の1錠は薬局で処方を受けたらお戻りいただき、診察室で内服して30分経過観察します。このため初回は1時間半程度の余裕をもって受診してください。時間がない場合は処方をして後日内服開始のために受診していただく必要がありますのでご理解ください。その後3年から5年程度続けていただきます。 服用法は錠剤を1~2分間は飲み込まずに舌の裏側に保持してから飲み込みます。
- 効果
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効果は徐々に現れます。治療を始めて数週間から数か月で例年より鼻炎症状を若干軽く感じたり、鼻炎薬などの使用が少なく済むようになれば効果が出ていると推測します。1年、2年と続けると効果は上がっていきます。
残念ながら効果のない方も2割程度います。今のところあらかじめ効果の出る人と出ない人を見分ける方法は見つかっていません。 効果のある方が治療を3年以上継続すると服用をやめた後も免疫が数年間残ると考えられています。
- 副作用
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最も多い副作用は口内炎や口の中の腫れ、のどのかゆみといった局所の症状であり、治療開始から3か月以内に起こりやすいのですがやがておさまります。抗アレルギー剤がのどの痒みなど局所の副作用を緩和するので併用することをお勧めします。喘息のある方は発作を誘発する可能性があり、喘息の症状が安定していない方はこの治療はできません。またまれにアナフィラキシー(全身のじんましんや腹痛・嘔吐の消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状)が起こることがあり、緊急の対応が必要になります。さらにショック(血圧が下がったり、意識レベルが低下すること)まで進むと生命にかかわる事態となります。 重篤な副作用はたいてい体調の悪いときや激しい運動をした時など、副作用の起きやすい状況で発生すると考えられています